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第3章「死後の」希望を叶える遺言公正証書
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遺言の注意点

(1)遺留分にも配慮し、トラブル対策も万全に

遺言の中では、誰に何を遺すかは自由です。
例えば「全ての財産を、他人の○○○○に遺贈する」という遺言も有効ですが、相続人がいる場合大変困ります。
そこで民法では、遺言の内容にかかわらず、相続人が最低限、相続できる財産の割合を定めています。これを「遺留分」といいます。

遺留分を有する相続人は、兄弟姉妹を除く相続人(配偶者、子供、直系尊属)です。

遺留分として請求できる相続分は、配偶者や子供が法定相続人にいる場合は相続財産の2分の1、法定相続人が直系尊属のみの場合は、相続財産の3分の1であり、当該相続人が、この相続分を確保できないときには、遺留分減殺の請求をすることで、最低限の相続分を確保できるようになっています。
遺留分減殺の請求をするかしないかは、当該相続人の自由な意思で決定でき、相続の開始及び減殺請求しようとする贈与等があったことを知った日から、1年以内(相続開始から10年以内)に行使する必要があります。

遺留分を有する相続人と遺留分の割合

法定相続人の第3順位である兄弟姉妹には、遺留分はありませんので、子供がなく相続人が、配偶者と兄弟姉妹だけの場合で、配偶者に全財産を取得させたいときは(特に自宅など)、遺言で「全財産を配偶者に相続させる」と遺言をしておけば、遺留分の問題はなくスムーズに配偶者が取得できます。

尚、相続開始前の「相続放棄」はできませんが、「遺留分放棄」については家庭裁判所の許可を得ることで可能となります。一般的に、家庭裁判所が遺留分の放棄を許可する基準は、以下とされています。

  • ① 遺留分放棄をする本人の意思を明確に確認できること
  • ② 遺留分放棄の理由に合理性と必要性があること
  • ③ 遺留分の放棄と引き換えに生前贈与を受けている等代償性があること

注意点としては、遺留分の放棄をしたとしても、相続人であることに変わりはなく(相続人でなくなってしまう相続放棄と異なります)、遺留分放棄とともに、遺言が遺していないと、遺留分放棄をした人も含めての法定相続となりますので注意が必要です。

(2)特別受益の持ち戻しを免除する意思表示

相続人の中に、婚姻、養子縁組、生計の資本としての贈与を受けた相続人がいる場合には、相続分のバランスを図るために、その贈与分を相続財産に加算(持ち戻し)して相続分を計算し、贈与を受けた部分は、その相続分から差し引くことが原則となっています。これを「特別受益の持ち戻し」といいます。

この持ち戻しは、遺言の中で持ち戻しの免除の意思表示をしておくことで、遺留分を侵害しない範囲で有効とされています。つまり、持ち戻し免除の意思表示とは、特定の相続人に対して、生前贈与に加えて更に相続分も与えるということになります。「生前に贈与した財産は、相続分の算定に際し、当該贈与が無かったものとして算定すべきものとする」という希望があれば、この条項を盛り込んでおくべきです。

(3)必ず遺しておきたい付言事項

遺言条項の中には、財産の分け方や認知他法的効果をもたせたい事項以外に「付言事項」といわれる、相続人への私的なメッセージを記載することが許されています。

特に不利益を与えてしまう相続人に対し、遺言という独特の重みを持つ書類の中で、どのような思いや背景があり、この遺言を書いたのかのメッセージを遺しておくことで、遺された家族同士のわだかまりの解消にも大いに役立つに違いありません。

家族と仲良く暮らせてきた人であっても、看取る家族側には、心のどこかに「あんなことを言わなければよかった」「何もしてあげられなかった」と後悔の気持ちを持ってしまっている場合も多いかと思われます。

「○○、○○、△△のおかげで楽しい人生を過ごせました。兄弟姉妹末永く仲良く暮らしてくれることを願っています。有難う」とパーソナルなメッセージを遺すことで、何かしらの後悔の気持ちを持っている家族の心を救う効果も大いにあるのではないでしょうか?

(4)変更、取り消し、書き直しはいつでも自由に

遺言は、作成した後でも、取り消し、変更、書き直しはいつでも可能です。
複数遺言がある場合で、先の遺言と内容が矛盾する部分は、作成日付けが、新しい遺言が有効となります。又遺言に記載した財産を処分した場合は、当該財産にかかる遺言の内容は、撤回されたものとみなされます。新たに変更、取り消し、書き直しをする際の遺言の方式は、先の遺言と同じ方式である必要はありませんが、これらも遺言公正証書で作成する方が望ましいといえます。

(5)相続税・二次相続も見据えた遺言が効果的

相続税の申告・納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ケ月以内に行わなければなりません。相続税には基礎控除、配偶者の税額軽減(配偶者の取得財産が、法定相続分かそれを超えても1億6千万円まで課税されない特例)、居住用宅地等の小規模宅地等の評価減の特例がありますが、これらの特例は、相続税の申告期限までに遺産分割されている財産にしか適用が受けられません。

万一、申告期限までに遺産分割ができていない場合は、特例を適用せずに算出した税額を一旦納めることになり、相続人等にとって大きな負担になります。(3年以内に分割を完了させれば払いすぎた相続税の更正の請求は可能です)
遺言で遺産分割の指定があれば、相続人間の協議は必要なく、遺言内容に従って遺産分割できるので、相続税対策としても遺言の作成は有効といえます。

更に一次相続(ここでは夫の相続)だけでなく二次相続(ここでは妻の相続)までのトータルの相続税額を見据えた遺言を遺せば理想的です。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減を適用して、仮に一次相続で相続税が0円になったとしても、二次相続時(財産を取得した妻が亡くなったとき)には、配偶者の税額軽減特例等がないことから、一次相続と二次相続のトータルの相続税が、一時相続で軽減特例を適用したがために、多くなるケースもあり得ます。

相続税対策が必要な方は、本人の一次相続だけでなく、二次相続も考慮して分割方法を検討し、それが実行できるような遺言を作成しておくとよいでしょう。

(6)心身とも元気な間に作成するのが一番重要

遺言は、未成年者であっても、15歳以上であれば親権者の同意なくできるとされています。これを遺言能力といいますが、特に高齢者の場合、加齢により判断能力が低下している場合も多く、本人の死後、この遺言能力が争われることも少なくありません。しかしながら後日、遺言作成時の遺言能力の有無を、証明することはかなりの困難が予想されます。

より万全を期すには、公証人が関与する遺言公正証書での作成は勿論のこと、遺言公正証書作成の場面をビデオで撮影し画像を遺しておいたり、かかりつけ医師や精神科の医師の診断書を、作成と同日付で作成してもらい、遺言公正証書正本と共に遺言執行人に保管を託しておくことも有効かと思われます。

注)1
本サイトで提案する移行型任意後見契約には、
①財産管理委任契約
②任意後見契約(認知症等により判断能力低下後、発効)
③死後事務委任契約が盛り込まれています。
実務ではこれら①から③の契約を1通の公正証書にまとめて作成することが一般的なことから、別途作成する遺言公正証書と併せて、2つの生前契約としています。
①~③の契約をまとめて表現するときは「移行型任意後見契約」、それぞれの契約を指す場合は「財産管理委任契約」「任意後見契約」「死後事務委任契約」と表現しています。

注)2
以下、本サイトでは、エンディングノートに書いた希望を実現させたい人を「本人」、その実現をサポートする人を「代理人」と表現しています。