おわりに〜三方よしの人生の引継ぎを〜

本サイトは、未だ普及しているとは言えない2つの生前契約で、誰もが備えるようになれば、「三方よし」の人生の引き継ぎができるのではないか?との仮説からスタートしました。

「三方よし」とは、江戸時代中期より全国で商いを行っていた近江商人から伝わる理念で、売り手の都合だけで商いするのではなく、買い手も心の底から満足し、更にその商いを通じて世間に対しても貢献できるのがよい商いであるというものです。

売り手を本サイトで定義する本人、買い手を相続人(代理人)、世間を金融機関等の事情を知らない世間に置き換えると、本サイトで提案してきました2つの生前契約の本質が見えてきます。

より具体的には、

1 本人よし

「もしも(寝たきり・認知症・終末期・死亡時)」のときに備えて元気な時の意思(マイライフプラン)を信頼できる人と共有し、権限の範囲を示した任意後見の登記をしておくことで、事情を知らない世間に元気な時の意思を証明でき、本人の希望は実現しやすくなります。

不動産の登記が、「自分の権利」を世間に対抗するためのものであるならば、任意後見登記は、「もしも」のときの意思を世間に証明(対抗)するためのものといえます。

2 相続人(代理人)よし

元気なときの意思が記載された公正証書及び登記事項証明書を世間に提示することで、本人の意思と、正当な代理人であること及び権限の範囲を証明できることから、託された希望を実現しやすくなります。

3 世間よし

本人が、認知症になり意思確認ができなくなった場合でも、公証人が作成した証拠力高い公正証書及び公的な証明書である登記事項証明書で「元気なときの意思」と代理人の権限とその範囲を、客観的に確認できることから、本人の意思に導かれた有効な取引が可能になります。

本サイトのコンテンツは、元気な時から死後の財産の引継ぎまで、「実現させよう!終活エンディングノート」をテーマに、誰にも訪れる「もしも」に備える新しいライフスタイルのご提案をしてまいりました。

少しでも共感いただき、希望の実現に向けて前進いただければ幸いです。最後までお読みいただき有難うございました。

注)1
本サイトで提案する移行型任意後見契約には、
①財産管理委任契約
②任意後見契約(認知症等により判断能力低下後、発効)
③死後事務委任契約が盛り込まれています。
実務ではこれら①から③の契約を1通の公正証書にまとめて作成することが一般的なことから、別途作成する遺言公正証書と併せて、2つの生前契約としています。
①~③の契約をまとめて表現するときは「移行型任意後見契約」、それぞれの契約を指す場合は「財産管理委任契約」「任意後見契約」「死後事務委任契約」と表現しています。

注)2
以下、本サイトでは、エンディングノートに書いた希望を実現させたい人を「本人」、その実現をサポートする人を「代理人」と表現しています。

※当事務所オリジナル移行型任意後見契約と遺言文例(7パターン)も掲載しています。